原子力に対する認識

 一般の人と原子力の関係者で一番の差があるのが、原子力エネルギーのパワーについての認識だ。核分裂の際に放出されるエネルギーは、同じ1 グラムの質量から得られるエネルギー量として比較すると、石油や石炭の燃焼で得られる化学反応のおよそ300万倍に相当する膨大なもの。

 薪に比べると同じ量の石炭や石油からは、はるかに大きなエネルギーを得られるが、原子力はそれとは桁違いの量のエネルギーが得られる。原子力発電と火力発電の比較では、大型発電所を一年間運転するのに原子力は20トンの燃料で済むが、石油火力では140万トンの燃料が必要になる。

 化石燃料の燃焼によるエネルギーと核分裂によるエネルギーの差は驚くほど大きく、この点についての認識が原子力関係者をして、急増する将来のエネルギーとして原子力しかないとの信念の元になっている。