列をなす花木
桜も皐月もチューリップも人が植えたのより、自然に群生しているのが好きだ。観光地などで新しく整備したところはこれでもかとばかりに大量に植えて数を競い、まるでギネスブックのためにやっているようになる。
人が植えると規則的になり、それを避けようといろいろ工夫をしているが、結局人工的なものになっている。それなら西洋の庭園のような幾何学的なパターンが良い。
利休は庭の椿の花をすべて落とし、茶室の床に一輪挿しにした。日本庭園では花はこれ見よがしに植えず樹木や石の陰にちらりと見えるようにするのが理想とされている。
木々の新芽で山が薄緑となり、ところどころに山桜、こぶしの花、山つつじが入って彩りとなっているのを見るのは一年に一度の贅沢だ。