杜撰な管理が心配

 島根原発で機器の点検漏れがあることがわかった。原発など巨大科学技術で問題なのは一番に倫理の問題。隠蔽、偽装、改竄などこれらは意図的であり犯罪といっても良い。外部からのテロ行為、内部のサボタージュなどもこれに入る。

 次に問題なのは管理が杜撰なこと。今回の島根原発でも機器の点検記録が事実と違っていた。意図的ではないにしろ、原発のような厳格な管理を求められるものに対してあまりにも無責任だ。かつて美浜3号機の配管破断事故で高圧蒸気による死者が出たが、この時も肉厚測定すべき配管の書類上の記録がいい加減だった。

 管理の問題はさまざまな形を取る。管理するための書類の桁間違いなどの記入ミスや転記ミス、コンピュータにデータを入力するときの入力ミス、改造工事などを図面に正しく反映しなかったミス、点検対象を間違えて点検してしまうミス、基準や規則が不明確だったために起きたミスなどだ。

 これに加えて最前線で起きるオペレーターのヒューマンエラーもある。これらは倫理的問題ではないが、杜撰な管理を放置しておいた幹部については必要な注意を払わなかったという倫理上の責任が出てくる。