理不尽なこと

鳩山政権は二酸化炭素の削減目標25パーセントを世界に示した。地球温暖化対策としてはまことに立派なことではあるが、日本の産業構造の変革についてはどのように考えているのか不可解だ。

日本の鉄鋼業は明治の官営八幡製鉄所からの伝統ある産業で国際的にもトップレベルの技術を持っている。今の競争相手は中国、インド、韓国、米国。既に日本鉄鋼業は自主行動計画の目標達成のためこれらの国々から京都メカニズムを利用してクレジットを購入。日本鉄鋼業がこれまで購入契約したクレジット2800万トン、600億円を超える規模と推定されている。

技術的な解決は困難なために、海外に工場を移す、あるいはこれ以上のクレジットを購入する(国際競争力はなくなる)しか打つ手はない。そうなれば多くの雇用や下請発注の喪失を伴う工場の海外移転か鉄鋼業そのものの廃業しかない。雇用確保、景気回復といった目標とはどう整合を取るのか。こんな理不尽なことはない。