日本文化の粋

 気がついてみると日本文化は我々の生活の隅々にまで浸透している。最近は洋室にカーテンという家がほとんどだが障子のもつ趣はない。障子というものは外が見えないのだが、外の気配は分かるという不思議なもの。

 天気がよいか悪いかは障子を開けなくてもわかる。夕方になると夕陽が明るく照らし、風があれば障子に映った笹の葉が揺れる。ガラス戸と違い風にカタコトと鳴る。障子にあいた穴で子供がいることまでわかる。

 生垣の隙間から家の中から人が通行しているのがわかるのと同じ。察することで直接見なくても理解するというのが日本人の一番好む行動様式である。