原子力業界の苦悩

 三年前の国の原子力立国計画により「役所、電力、メーカーの三すくみ状態」が解消され、日本の原子力開発が再び起動に乗るかと思われたが、その後起きたことはすべてにおいて遅れ、現状維持に繋がることばかりだ。

 再処理工場のガラス固化最終テストでのトラブルと竣工期日の度重なる延長、柏崎刈羽原発を襲った中越沖地震浜岡原発を襲った地震後の運転再開の遅れと一二号機の廃炉

 リーマンショックに始まる世界的金融危機の影響によるアメリカの新規原発発注への日本メーカーへの影響、原子力支持とはいえ自民党から民主党への政権交代、連立政権内には原発反対の社会党が入った。

 六ヶ所村に使用済燃料を送り出せなくなった電力会社は燃料プールの改造や中間貯蔵施設の建設へと走っている。敦賀原発1号機は40年を越える運転期間の延長を決定。これが全国に波及すれば、増設がかなわなかった場合の余力を徐々に失っていくことになる。

 2030年から既存原発のリプレイスが本格化するはずが、延びる可能性もある。国内メーカーはあわてて集めた人材をしばらく抱えていくことになる。電力会社は日本原燃への追加支援で新たな負担に苦しむことになる。