夜の音

夜の音は季節によって違う。夏は何時になっても虫の声がし、遠くで花火の音がする。夕涼みの人たちの歩くざわめきが聞こえる。冬になるとこれらの音がまったくしなくなる。木枯らしがピューと吹く音が隙間から聞こえ、寒さがキーンという音になって耳に伝わってくる。

雪がしんしんと降ると外を歩く人もなく、山の動物が家の近くにきたことさえ、翌朝の足跡で分かるくらい静かである。ストーブで乾燥した梁がミシッと音を立てる。季節を感じるには目を閉じて音だけに集中するのが良い。