パタゴニアの風

 パタゴニアは南米アルゼンチンの南端にある広大に荒地。ここは世界でも有数の風の強い地帯だ。年間を通して平均毎秒9メートルの風が吹きぬける。日本では風力発電は年間平均で25パーセントの稼動率だが、この地帯では50パーセントに達する。この風を完全に活かして風力発電をすると、一年間で日本が必要とする電力の10倍を発電出来るポテンシャルがある。

 問題は日本から遠く、アルゼンチンでもブエノスアイレスなど人口のある都市部から離れていること。今、日本の研究機関がここに1万基の風力発電設備を作り、その電気で水を電気分解して水素を製造。これをタンカーで日本に運んだ場合、もしガソリンが1リットル130円以上の状況なら、この水素で燃料電池自動車を走らせても採算が取れるという試算を出している。

 将来、温暖化でパタゴニアの気象が変わり、せっかく作った1万基の風車が止まったままになることはないのだろうか。