京都タワー

 1964年、京都の駅前に京都タワー京阪電鉄所有)が出現し世間を驚かせた。あれから50年、地方都市では町屋を懸命に守り修復しようとしているのに、肝心の京都ではいまでも町屋がどんどん壊されている。京都は商業都市、観光都市であるより、町全体が世界遺産クラスの文化財

 市民の生活もあるが、景観や文化を守るためにもっと国税を投入すべきで、保護の対象も点から面にそして空間にも広げるべきだ。日比谷通りの皇居周辺のビルは天皇の住まいを上から覗きこめないよう高さを8階に制限していたが、あるとき高層ビルが建てられた。

 我が国としてはあそこに高層ビルを許可したのは損失の方が大きかった。商業的繁栄は一時的なものであり、代替も効くが、文化財や景観は代替が効かない。最近、田んぼが米の生産から環境維持の役割へと見直されているが、文化財についても見直しが必要だ。