原子力の健全な証拠

 今年の原子力安全白書が出た。冒頭、東京電力柏崎刈羽原発中越沖地震によって設計時の想定を上回る揺れを受けた点について原子力安全委員会が「率直に反省し、教訓や知見を生かすことが安全委員会の使命だ」としている。本文でもこの地震問題に半分近くを使っている。

 東京電力が海底の活断層を発見した後も隠していたことを問題にした。テレビも例によって視聴者の関心を呼ぶ原子力の問題点を取上げたが、原子力安全委員会がこのように率直に反省を述べたことは原子力界にとって幸いだ。

 全電力の不祥事が続いたとき、原産協会会長は「どんどん新たな不祥事が出て来るのは業界が健全になりつつある証拠」とコメントしたが、最近この手の反省が原子力界全体で減っているような気がする。今回、原子力安全委員会が反省を表明したことは、原子力界の健全性を示す証拠だ。