派遣の失敗と多層構造

 製造業の派遣社員の問題として、「改善活動の停滞」をインタビューを受けた経営者が挙げていた。一方、派遣労働者も単純作業ばかりで技術や熟練とは縁のない仕事ぶりを反省していた。原発の建設やメンテナンスは派遣ではないが、多層構造の請負制であり、末端の作業者は絶え間ない勤務先や職種変更と単純作業ということでは派遣労働に近かったのではなかったか。そして定期検査毎の作業量ピークに合わせて採用され、それが終われば切られるということを何十年と繰り返してきた。

 この制度は派遣労働と同じく、現場に一番近い作業の改善活動を停滞させ、教育効果の蓄積を難しくしてきたのである。原発の作業安全や品質を今以上に向上させるためには、この派遣労働に近い実態を改める必要がある。