古い知識のままに

 時事通信社は2月22日、近畿2府4県で実施した「くらしと環境に関する世論調査」の結果をまとめた。それによると、69.6%が地球温暖化問題は10年後に「現状より深刻になる」と回答した。有効な温暖化防止策(複数回答)としては、太陽光・風力発電などの新エネルギーの利用を挙げる意見が87.3%と最も多かった。その他の対策は「省エネ推進」(68.4%)、「水力」(32.5%)、「天然ガス」(21.1%)、「原子力」(17.8%)の順だった。原子力発電については、「必要」(58.6%)が「必要でない」(20.6%)を上回った。

 これを見る限りでは、近畿地方の人々はまず新エネルギー、省エネをと考えている。これはマスメディアの報道や各種のテレビ番組あるいは自治体の活動、学校教育のキャンペーンが浸透しているようだ。しかし、「原子力」を抑えて3番目が「水力」というのはちょっと首をかしげる。水力は現在でも電気の1割程度しか供給しておらず、ピーク時の調整弁としての役割が大きい。全国の大規模開発地点はほとんど余地がなく、長野県のように脱ダム宣言まで出されている。新たな水力発電技術の開発を期待しているとも思われず、このような数字は古い知識がそのままであることが原因だと思われる。