欲望の制御

 誰もが自分の欲望を満たすために一生懸命だ。一キロを得るのに何トンもの飼料が必要な美味しい肉を先進国の富裕層が食べれば、途上国の貧困層は生きるための最低限の食糧も手に入らなくなる。強者が弱者の食物までを奪うのが現実の世。

 だからと言って、自己の欲望を全部抑え、全部他人に与えてしまっては生きていけない。これを解決する一つの方法は自己の欲望を最小限に抑制し、残りを他人に与えることを自分の満足とすること。寄付行為や奉仕活動、子供に対する母親の献身などがそれにあたる。

 自分の欲望を満たすことばかり追求していると、最後は虚しさしか残らない。動物でも親が子供のために犠牲になる場合があるが、人間にもそのような満足回路が脳に組み込まれていると信じたい。限られた資源と環境の中で他を考え、自分の立場をわきまえて行動を律することが、困難な21世紀を生きる術だ。