ピークカットに蓄電池

 かつてアメリカの電力会社で顧客である家庭に新型冷蔵庫など家電製品をタダで配ったことがある。理由は新たな発電所建設に資金を投下するより、各家庭で省エネをしてもらい電力需要のピークをカットした方が有利であるという、極めてアメリカ的な計算だった。

 我が国においても電力会社は消費電力の大きい工場や大型商業施設や団地などにNAS電池などの大型蓄電池を設置することにより、安価な深夜電力を貯蔵し昼間のピークカット対策をして、電源設備の投資抑制あるいは火力発電所の運転時間を減らすことが可能だ。すでに工場やスーパーなどいくつかの試みは実施されている。

 NAS電池やリチウムイオン電池などが大量生産によりコストダウンすれば、各家庭に電池を置いて安い深夜電力を利用することは電力会社にも消費者にも十分にメリットがある。なにしろ今現在はピーク需要に対応出来るように電力会社は普段必要な2倍の発電設備を年間を通して維持している。

 今後、原子力発電所の増設がうまく行かない場合、あるいは火力発電所二酸化炭素排出を制限された場合、電力会社は需要の平準化をして大きな設備を持たないようにすることを考えるだろう。