自然の恵み

 兼好法師が書いた徒然草には「家は夏向きにつくれ」と書いてある。エアコンも断熱材もない時代、冬の寒さはしのげたが、夏の暑さにはお手上げだった。技術が発達した今日では太陽電池を屋根に取り付けて、これでエアコンを動かすというのも一つの解決策だが、もっと自然の力を直接活用出来る。

 夏は庭の落葉樹の葉で日陰をつくり、軒先に棚をつくり藤を這わせるか簾を水平に載せ、風を逃す大きな天窓と北側の窓を開け放てるようにする。これで乾いた風が家の中を吹きぬける。晴天が続く太平洋側では、冬は庭の落葉樹が葉を落とし、陽がよく当たるので南側はアルミサッシに高さ2メートルのペアガラス仕様を採用し、昼間はサンルームのように陽の光が部屋全体に及ぶようにする。(日本海側は晴れないので追加対策が必要)

 夜は断熱シート付きのシャッターを下ろして薪ストーブかペレットストーブで暖を採る。これくらいなら改造程度で出来る。現代人は寒い暑いと騒ぎすぎて、身体の対応能力を失っている。床暖房を入れて常夏の家を達成したらどんな子供が育つか心配だ。