原子力の日本化現象

日本に原子力が導入されてから半世紀以上の時がたつ。この間に原子力はどのように日本化されたのかは興味のある問題だ。日本は外国の技術を取り入れるとこれを日本化する能力に長けているといわれる。原子力においてもそれは行われたのか。行われたとすればどのような形になったのかというテーマだ。

日本の原発は事故やトラブルで停止する頻度は世界一少ない。一方、チェルノブイリ事故後も欧米のようなモラトリアムにはならず原発の建設を続けたが、停止すると再開までに原因究明、対策の実施、地元の了解などに時間が掛かる。定期検査のための停止期間も海外と比較すれば2倍以上長く、どう見ても合理的、効率的な運営は出来ていない。

結局、原子力技術における日本化は技術が他の社会的要因に抑えられて真の実力を発揮できないという他の技術にも見られた現象に倣ったものとなった。日本で一番大切にされるのは効率ではなく、社会関係だということだ。