国内向け産業

 政府が先頭に立って原発を東南アジアなど海外に売り込もうとしているが、先行きは不透明だ。原発建設計画を持つ途上国は多いが、フランス、ロシア、韓国など日本の競争相手はたくさんいる。運転経験は電力会社が持っているので途上国への売り込みには電力会社の支援も欠かせないところ。

 日本の電力会社は国内の顧客しか相手にしたことがなく、完全なる国内向けの産業だ。その原発建設やメンテナンスを受注してきた日本の原発メーカーもその影響を受けている。現在、各メーカーの国内の工場では外国からの大型機器の受注で大忙しだが、韓国に比べて価格が高いのも事実。

 このあと中国が工場をつくり世界中に原発機器を売り込むようになれば果たして日本メーカーは太刀打ちできるのか。ニッサンが世界戦略車をタイで安く生産し、日本にも逆輸入することを決めたが、原発メーカーも東南アジアに工場を建設してそこから世界中に機器を提供することを考えなくては将来がない。