原発の何が危険か

 一般の人には原発は危険なものであると思われているが、それでは何が危険であり、その程度はどのくらいかについては誰も知らない。この点について原発の関係者が説明しようとしないので、いつまでたっても原発の危険性は謎のまま。逆に反対する人たちからは、ひとたび原発事故が起きれば世界の破滅のように危険性を宣伝されてしまっている。

 原発の危険性といえば放射線放射能(放射線を出す能力のこと)であるが、確かに他の毒物と同じように過剰に浴びれば死に至ることは事実である。しかし、反対派が「原爆何万発分」と表現する大量の放射能は原子炉内に存在するのであり、それが外部にモロに出てくれば大変なことになる。

 それがチェルノブイリ事故であった。考えうる最悪の事故であったが、死者が出たのは原発周辺であり、ウクライナの一部地域である。現在日本やアメリカで使用されている軽水炉型の原発は原理的にあのようなことにはならない。

 軽水炉原発でも大量の放射能は原子炉内にあるが、これが最悪の状態になり原子炉内部で核燃料が溶けてしまったのがスリーマイル島事故である。このときは外部に大量の放射能は出ず死者はゼロである。軽水炉原発での事故はこの程度までだと考えてよい。