原子力推進の大義

 国や電力会社は原発稼働率向上の大義として「温暖化対策」を挙げているが、発電コストの抑制も大事な大義だ。他の電源に対する原子力の優位をさらに確実なものにするためコスト優位ははずせない。また、電気料金を下げることは他の産業の国際競争力を高め、産業の空洞化を防ぎ、家計のためにもなる。

 アメリカで原発が復活したのは当初高かった原発の電気が安くなったため。安くするためにアメリカの電力会社が払った努力は大変なものだった。厳しすぎる規制を撤廃させ、安全を損なうことなく合理的に稼働率を上げるとともに、メンテナンス費用を抑えるためのさまざまな工夫をし、金のかかる改造工事などを最小限にして、運転期間の延長を行った。

 いまでは水力発電所のダムのように原価償却の終わった原発から他のどの電源よりも安い電気を供給出来ている。原発の支持者を増やすためにもコストを忘れることは出来ない。どうやらコスト低減というと安全をないがしろにするような後ろめたさを感じていて腰が引けているようだ。