自然に還す

 地方に次々と限界集落なるものが増えてくると、自然は猛烈な勢いで人間に反撃してくる。狸、狐、猿、猪、鹿、熊、蛇などがその領域を増やし、山に人が入るのも危険になってくる。高速道路に動物注意の標識がいたるところに出るようになる。

 高齢化が進み、集落に住んでいた人は町に下りてこざるを得ない。江戸時代から営々と先祖が開墾してきた山間の耕地はついに人の手から離れ自然に還ることになる。

 日本の人口が減るのにあわせて、その国土も小さくなるのは当然の成り行きなのだ。人口密度が減れば、コスト高になりさまざまなサービスが廃止になる。地方の郵便局の閉鎖はその魁である。