自分の風景

 人は生まれ育った環境に死ぬまで一番親しみを持つ。老人ホームの高齢者には若い頃から使っていたタンスなどの家具をおくと気持ちが安定する。本屋で土門拳のむかしの東京や昭和のこどもたちの写真集を見ると手元に置きたくなる。年を取ったらそれまで暮らしていた町から離れない方が良い。

 高速道路ができ、高層ビルが立ち並び、周囲の風景はどんどん変わって行き便利になっていくのはしかたがないが、ごちゃごちゃした下町の路地や落ち着いた里山の風景はいつまでも変わって欲しくないものだ。