ウサギ追いし、かの山

 書店で棚田を撮った写真集やスケッチ集があるとつい手に取って見てしまう。都会の人々はテレビでまだ残っている里山の中継をやっているとうれしい気分になる。

 地方では働く場所がない、工場を誘致すべきだ、商店街がシャッター通りになって街にネオンが消えてから寂しいと言う。地方の人々は「オラ、こんな村いやだ、東京に出るんだ」と言い、都会の人は少々不便でも里山にあごがれる。

 「田舎暮らし」というタイトルの月刊誌まで出版されている。いったい人々はどっちが本音なのか。金を得るために、便利な生活をするために、刺激のある生活を送るためには都会で、良い空気を吸いストレスを解消するためには田舎でという相反することを望んでいる。

 であれば、そのような暮らしが出来るように自分の立場や年齢などに合わせて暮らし方を設計すればよい。大金持ちは別荘を持っていたが、金がなくとも工夫すれば出来るはずだ。