大きいこと

 その昔、高度経済成長時代「大きいことはいいことだ」というCMがはやったが、果物、野菜、そして魚も大きすぎると味が落ちる。大きすぎるスイカは中に空洞があり、成長しすぎた茄子は味がない。夏の魚である鱧も大きすぎるとおいしくないと京都の料亭の板前に聞いた。

 ちょうど良い大きさというのがどんな食材にもある。大きすぎるステーキ肉や魚の脂ののりすぎも良くない。江戸時代はトロは下品なものとして捨てられていた。

 アメリカのように大きさをどこまでも追求するのではなく、中味の充実を求めるのは日本文化の特徴でもある。さらにそれをいかにコンパクトにまとめるかも得意としている。