海水ウランへの期待

報道によれば日本原子力研究開発機構は、海水からウランを採取し、最大の課題である採取コストをウランの実勢価格の3倍弱に引き下げる技術を確立した。平成29年の実用化を目指してさらなるコストダウンを目指しているという。

 日本は原発の燃料となるウランをすべて海外から買っている、ウランは海水1トンに3・3ミリグラムの割合で溶け込んでいて、海水中のウランを合計すると、ウラン鉱山の埋蔵量の1千倍にあたる45億トンに上るとみられている。

 放射線利用技術のひとつ、グラフト重合の応用で海水からウランを採取する技術を確立したというから、原子力は自らの技術で燃料確保も可能にしたということだ。

 実はこの技術10年くらい前から実際に日本沿岸での実験をしてある程度の成功を収めていたのだが、その時はウラン価格が安く、まだ資源問題も起きていなかったために、コストの面で太刀打ちできなかった。

 資源価格の上昇と技術進歩によってこれが浮上した。これで原子力を次世代のエネルギーの柱とする根拠がまた一つ出来たようだ。後は高レベル放射性廃棄物を焼却炉で燃やして短い年月で無害化する技術を開発すれば、いよいよ原子力の時代が迎えられる。