原子力の世界的潮流

世界の原子力情勢はルネッサンス騒ぎが落ち着いて、徐々にその中味が明らかになってきたようだ。アメリカは依然として経済危機が続いており、原子力発電所の新増設計画は打ち出したもの、申請を取り下げるものも現われる始末。実際の着工は今年中は一基も無理そうだ。逆にユッカマウンテンの挫折から立ち直れるのか心配だ。

そうしているうちにも運転中の100基あまりがどんどんと高齢化していく。一方、着実に成果をあげているのが中国。フランス、ロシア、アメリカと各国と手を組んで複数のサイトで建設に邁進している。韓国、日本を基数で上回るのも時間の問題だ。製造の面でも100万キロ級の原子炉圧力容器を始めて自力で製造するなど力をつけてきている。原子力発電所のヘビーコンポーネントは日本のメーカーの独壇場などとマスコミは騒ぎ立てたが、韓国の実力、中国の躍進などを見落としている。

フランスは一国、一電力、一メーカーで大統領を先頭に原子力を重要な輸出産業として全力で売り込みをかけており、中国にはしっかり食い込み、ヨーロッパ、アフリカは手中に収め、さらにインド、東南アジアでも一番可能性があるベトナムに攻勢をかけている。