花いっぱい

 全国の町や村で「花いっぱい運動」が繰り広げられるようになってから久しいが、今やブログでも花いっぱいの花壇の写真があふれている。原色の花が色とりどりに咲き乱れているのを見るのは疲れるものだ。

 日本の伝統文化では花は秘すもの。千利休は咲き乱れる椿の花をすべて落とし、茶室の床の間に象徴的に一本の椿を飾った。日本の庭園では花がまともに見えないように、木の陰からちらっと見えるように配置し、しかも白い花が好まれた。

 日本文化は量を追い求めることを否定し、むしろ削ぎ落とし、純化する。大自然を見るとニッコウキスゲの群生がある一方で、人知れずひっそりと可憐な花をつけている二輪草がある。やはり日本文化は自然に影響を受けている。