シティの発想

 イギリスは産業革命を起したが、いまやすっかり産業は空洞化してしまった。地下鉄などのインフラもすっかり古びて、ブタペストやプラハの地下鉄が車両も駅も大きくピカピカなのと対照的。いまだに狭い道に赤い二階バスを運転手の名人芸で走らせている。

 産業はこれといったものがなく、外国からの投資をシティに呼び込んで、市場を活発にして一番楽に金を稼ごうとしている。最近のロシアの資源バブルを狙ってロンドンでは市がロシアの日を設けている。

 人の褌で相撲を取る精神がここまで沁み込んでしまったのは、植民地政策で自分達は働かず、贅沢な暮しをすることを長年続けてきたせいだ。その後もロンドンは世界の金融の中心地として世界中から金を集め、その上がりで生活を成り立たせてきた。

 自分のことは自分でやろうとせず、どうやって苦労せずに金儲けをするかを考えるようになった人達が今世界金融不安で苦しんでいる。そんなシティの発想で温暖化ガス排出権を儲けや賭けの対象にしてよいはずがない。