浪費習慣

 子供のころに中流家庭の一人っ子だった友達が「朝歯磨きするとき、ブラシの先端に少しつければよいという歯磨き粉のコマーシャルやっているが、オレはそんなけちなことはせず、絶対にたっぷりつける」と言っていた。それは今思えばアメリカ文化の影響だった。

 日本人であれば、生活は出来るだけシンプルで、簡単なもので、お金をかけないもので何とかしていこうという考えをするはずだ。だから当時、友達の言うことにはすごく違和感を感じたものである。それから日本が経済成長を遂げるにしたがつて、節約の精神はどんどん薄れていった。

 日本がアメリカと同じようなやり方をやったら危ない。日本人は、風とか香りとか僅かなもので精神的に深めることが出来る文化を持っていた。そういう僅かなものをよりどころにして人間としての深みを増す喜びというものを、世界が考えないと地球がパンクする。