シンプルなハイテク装置

 人類は化石燃料に替わるエネルギーを求め、原子炉や核融合のような巨大で複雑な設備を造りだす方向に突き進んできた。それらは、万一の際の安全を確保するために複雑な制御装置や安全装置を何系統も持つ宿命を持っている。これとは逆にシンプルだが素材などにハイテクを使った開発の方向がある。ソーラークッカーは、傘のような形の内側にアルミ箔を貼って集めた太陽の熱で水を温めてお湯にするキャンプ用の装置。晴れていれば30分で1リットルのお湯が沸く。

 福井県若狭湾エネルギー研究センターが開発した人の背ほどの小型太陽炉は、今月アラブ首長国連邦アブダビで開催される世界・未来エネルギーサミット2009の会場で展示される。薄くて軽量なフレネルレンズを用い、出力1.4キロワットで1600度の高温を作りだせる。巨大で複雑な装置ばかりでなく、こうしたシンプルなハイテク装置を分散型で使うか、ユニットを連結して大容量の装置にすることにも研究投資をしたい。