社会部主導のマスコミ報道

 震度7中越沖地震で1年半停まったままだった柏崎刈羽原発7号機の運転再開を原子力安全・保安院が認め、新潟県柏崎市刈羽村などの自治体がこれを認めるかどうかの段階となっている。地震後の設備の安全点検や必要な修理が終わったというのだが、地元住民は専門家の見解を聞くしか、判断の方法がない。

 マスメディアは例によって国や東京電力自治体とのやり取りや駆け引き、反対する団体の活動は詳しすぎるくらいに報じるが、肝心の設備点検結果やどのように補強したか、あるいは次に大きな地震が起きた場合どうなるのかといったことはほとんど報じない。新聞社には科学部があるのだから、そこで技術の問題をわかりやすく解説した記事を載せるなど、読者の判断を助けるような努力をすべきだ。

 大地震というめったに起きない自然災害をどう安全問題として捉えるのか、国が大丈夫と言っている根拠は何かなど解説すべきことはたくさんある。あいかわらず事件や政治を扱う社会部主導の報道が直っていない。視聴率を稼げそうな点だけを報道するマスメディアではなく、国民が知ることが必要なことは、たとえ地味な内容であっても興味深く読ませる努力をするのがマスメディアの役割だ。