農業の壊滅
農協などはTPP参加問題で日本の農業が壊滅すると反対するが、野菜や花は現在でも関税がそれぞれ3パーセント、0パーセントだ。それでも野菜や花は中国を始め海外に輸出が行われている。
リンゴ、サクランボ、桃、ブドウ、イチゴなど東南アジアの富裕層には日本の果物は大人気だ。逆にサクランボやイチゴについてはあまりに高級化してデパートなどで売っているイチゴは庶民の手の届かない値段になっている。
昔は輸入していたアスパラもキウイもマンゴーも輸入品に対抗して立派に栽培出来ている。高い関税で護られている米などが、自由化すれば壊滅すると言っているが、野菜や果物、花が大丈夫なのはどのように説明するのか。
処分場のイメージ
各地でゴミの処分場の建設地を見つけることが難航している。ましてや放射性廃棄物処分場は国や推進機関が10年以上やっているが、まだ見通しが立たない。
原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分場がどのようなものか一般の人にはイメージが湧かないのも原因のひとつだ。マンションを買うにも分譲地に家を求めるにもパンフレットでイメージを膨らませることが行われている。
どんなマンションにもモデルルームが作られる。高レベル放射性廃棄物処分場についても実際にモデルを造って見せることが良い。もちろん実際に放射性廃棄物は入れない。
それはたぶんおしゃれな公園のようなものになるはず。百聞は一見にしかずというが、大体の大きさや外観を知るのは理解の第一歩だ。
特別に長い鎖
どんな産業でも原材料の調達というフロントエンド、廃棄物の処分というバックエンドを持っている。自動車産業では部品の調達、それを作るための部品メーカーによる原材料の調達がフロントエンド、生産に伴うゴミの廃棄、廃車後のリサイクルや不用品の廃棄がバックエンドにあたる。
原子力の場合はウラン燃料の調達、交換部品や消耗品などの調達があり、使用済燃料のリサイクル、放射性廃棄物の処理処分などがバックエンドと呼ばれている。
核燃料の製作は鉱山からはじまり濃縮転換という長くて複雑な工程があり、放射性廃棄物は最終的に深い穴を地面に掘って埋め管理するというバックエンドが存在する。
濃縮段階では核兵器への転用というやっかいな問題があり、放射性廃棄物には何百年、何千年も放射能が減衰しない問題があり、これらが原子力を特別な産業として扱わざるを得ないものにしている。