自然の美しさ

 美しい自然に感動する。所詮人間の作ったものは自然にはかなわない。自然は見せようという気がないのでかえって心を打たれるのだ。人工の美はたくまざるものでないかぎりつまらない。

 一流の芸術家は「最後は自分以外の力が最高のものを創り出す」と言っている。壊れかかったレンガの橋は建築家の意図しないところで美しい。

 さまざまな雑物に囲まれても、凛としたところがあると美しいと感じる。高山植物の花やハスの花には凛としたところがある。それらは周囲との対照で美しいのであってすべてが美しいということはない。

 すべてが満たされた天国や極楽というところは案外つまらないところだろう。