エッフェル塔で考えたこと

 エッフェル塔の展望台からパリの街を見渡すと、凱旋門を中心にして放射状に大通りがつくられ、それを環状道路が幾重にも取り囲んでいることがわかる。その真ん中をセーヌ川がゆったりと曲線を描いて流れている。

 建物は石造りで十九世紀そのままに内部だけが改装されて使い続けられている。高い建物は教会や宮殿だけで、環状道路のはるか向こうにブーローニュの森が見える。

 高層ビル群はずっと離れた副都心デ・ファンスに集中してちょうど新宿の副都心を高円寺あたりから見た感じだ。厳しい建築制限とその結果はパリの人々がどんなにこの都市造りの粋を集めた街に愛着を持ち、大切に考えているかをよくあらわしている。