ドイツの迷走

 日本の原発反対派やマスコミが手放しで賞賛するドイツが迷走を続けている。ドイツ政府はこのほど原発を2021年までに全廃するとしていた従来の計画を修正し、少なくともあと10年間は原発の操業を続けることを決めた。

 理由は原発に代わる風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及が思ったように進んでいないことだ。皮肉なことに原発停止までの期間を延長するドイツ政府の計画は、今世紀半ばまでに同国の再生可能エネルギーの大半を占める可能性がある沖合風力発電への投資の妨げになる恐れがある。

 原発を運転する電力会社は再生可能エネルギー事業支援のため年間3000億円もの税金が課せられる。ドイツの電力会社はこの税負担に対応するため、風力発電事業への投資を削減する可能性が出てきた。