極めて厳しい状況

 アメリカは世界で一番多くの100基を超す原発を運転中だ。しかもその運転成績はトップクラス。この10年ほどの間に出力向上、状態監視技術によって定期検査などを軽減、寿命延長を次々と実現した。今や償却も終わってアメリカでは原発は電力会社にとって稼ぎ頭となっている。

 だが、寿命延長したとはいえ、あと数年もたてば物理的にあるいは経済的に原発を停止せざるを得ない発電所がどんどん出てくる。アメリカの場合、数10年間に遡って原発の建設がされておらず、今稼働中の100基の原発は短期間になくなってしまう。

 新規建設計画もたくさんあるが、いまだに正式着工にこぎつけたところがないので、建て替えが進まず、一時期100基を下回る事態が出てくると考えられる。

 その場合、さらに原発の寿命延長するか火力発電に頼らざるを得ないが、温暖化対策や化石燃料の価格高騰の影響を受けることは必至。アメリカの電力供給は厳しい状況を迎えようとしている。