夕日

 既に日中は30度を超し、夕方になっても日差しはジリジリと刺すように強い。雲、山、そして建物もすべて赤く染まっている。沈もうとする大きな太陽は大気の層がレンズのような役割をするからそう見えると教わったが、いまさらながらに大気の層が一万メートルくらいしかないことを実感する。大気圏は地球が玉子ならその殻くらいの厚さしかない。

 大宇宙からすればこんなに狭い空間で我々をはじめとする何億という生物が生きていること、そして何十億年という長い生命の歴史の中で一瞬とはいえ自分が存在していることに驚くとともに、その意義を感じないわけにはいかない。