日本人と安全

 日本人は何につけても白黒をつけるのが好きというやっかいな性質を持っている。日本の国技、相撲。それはレスリングのように判定勝ちや引き分けがない。同体は取り直し、勝負がつかなければ取り直し。勝負の結果も白星、黒星で表示するという徹底ぶり。

 こうした日本人の考えの裏にはいさぎよさやどこまでも純粋なものを追求するバックグラウンドが感じらる。テレビの水戸黄門もそうで善悪がはっきりしていて、必ず悪家老や悪代官と越後屋(なぜか越後屋)が登場してくる。始まってしばらくするとはっきりと誰が悪人かを言ってくれる。

 その割り切りの良さを「安全問題」に持ち込んで安全か危険か「はっきりしろ」というのはどんなものか。原子力事故の大きさの尺度はあるのだがあまり使われていない。安全に関する人々のこのような感情が冷静な判断を誤らせて逆に人々を危険な状態にしている。人はすぐ付和雷同しがちだ。だから最も危険なのは人間が感情の動物であることだ。