勇気と賢明さ

暑くなってくると、今年も原爆忌がやってくるなと思う。被曝体験のある日本人が戦後間もない時期に平和利用であるとはいえ、原子力開発をスタートさせたことにはいまさらながら驚く。日本が戦争への道を突き進んだ理由がアメリカ、イギリスなどに石油エネルギー供給を断たれたことにあり、何とか国産エネルギーを手に入れようとしたからだ。

 海外油田の確保は成功したとはいえなかったが、原子力発電の技術は今や世界をリードするようになった。日本人は今一度、原子力開発の原点に立ち戻り、前世代が被曝直後という時代にもあえて原子力の平和利用に着手した勇気と賢明さに思いを致すべきではないか。