大地の勾配

 田植えを終えた水田は川から引かれた冷たく清らかな水が苗の茎を浸している。あぜ道を自転車で走ると足に掛かる負荷の違いで、一面の水田がごく僅かではあるが、海に向かって勾配しているのが分かる。

 川が何万年もかけて流域に土砂を運び、山から海に向かって気がつかないほどの精密な自然の土木工事を完成させたところに人間が水田を作って稲作をしているのだ。もし大地がまっ平らだったらこんな広い平野に効率よく水をまわすことは出来ないはず。

 農業が自然に大きく依存をしている証拠だ。自転車で走ると車の時には出来ないさまざまな発見をする。