科学的事実を認めない日本人

 遺伝子治療、遺伝子組み換え食品、臓器移植、放射線利用、耐震設計など、科学の進歩を生活に取り入れる際に、日本人は欧米に比べて「何となく嫌」という感情を出すことが多く、科学的に検討されたある基準を作り、そこで割り切って科学技術を利用することが苦手だ。特に健康や生命にかかわることに関しては「人工的なものは少しでも少ない方が良い」という考え方を捨てない。

 その感情を満足させるために何倍も何十倍もの厳しい基準を作らせ、ほとんど意味のないコストを支払ってもよしとしている。マスコミもこの考えに迎合して、わずかなリスクを大げさに報じるので、国や企業も世界的に見ればおかしな規制を強行する。科学的根拠や確率論を拒絶する国民性は、一転して盲目的受け入れをする可能性もあり、危うい国民性であるとも言える。