風評被害

 中越沖地震で停止した柏崎刈羽原発の運転再開が近い。あの地震放射性物質が管理区域から非管理区域に出て、それが海まで達してしまったことが報じられ、変圧器の火災の映像とともに地元住民に大きな反響を呼んだ。

 当時、発電所長「環境にはまったく問題のない量だが、住民は心配するだろうな…」ととっさに考えたようだ。ごく僅かな量であっても「漏れたことにはまちがいない」として漏洩という見出しが新聞などに躍ってしまい、風評被害につながる。漏らしたという事実は申し開きできないことが電力会社のジレンマとなっている。

 いくら微量で健康に影響がないといっても、それは聞いてもらえない。その程度のことを大きく騒ぐべきではないという意見は相当後にならないと出てこない。地元はその後長く、風評被害に悩み、儲かったのはセンセーショナルに騒ぎ立てたマスコミだけというのでは、なんともやりきれない。